押し入れの奥からビニールの板っぺらを引きずり出した。赤と關節痛症白が鮮明に輝くそれは、圧縮パックで押し潰されたサンタクロースの衣装だった。

進藤は深い溜息を吐きながらミシミシと圧縮パックを広げ始めた。これから朝までこの服を着て雪空を飛び回るのかと思うと、持病の座骨神経痛がツキーンっと腰に走り、たちまち暗い気分に陥った。
(もう嫌だ……)
進藤は白いボンボンの付いたサンタ帽子を畳に投げ捨てながらぐったりと項垂れた。
実際、六十五才の老体にサンタクロースという重労働は無理があった。しかも今年の五月に胃のポリープが三つも発見され九月に退院したばかりの病み上がりなのだ。
(このまま寝てしまおうか……)
そう思った瞬間、屋根の上からトナカイの鈴がチリリンっと聞こえた。その鈴の音は、進藤の今の心を読み取ったトナカイが催促しているようだった。

進藤關節痛症は精気のない目を貪よりと開き、重い腰をゆっくり上げた。サンタガウンを気怠そうに羽織りながら溜息をつき、窓の外にソッと目をやった。
隣家の庭に積もった雪に、リビングの窓から溢れるクリスマスツリーの電飾がチカチカと反射しているのが見えた。漆黒の夜空には吹雪の渦がとぐろを巻き、轟々と唸りをあげていた。
進藤はそんな恐ろしい夜空を見上げながら心に誓った。今度こそフィンランドの本部長に直談判し、なんとしても今年を最後に引退させてもらおうと。

そう思ったら少なからず心と体が軽くなったような気がした。押入れに潜り込み、そこから屋根裏によじ登った。一年間溜った蜘蛛の巣を顔面に受けながらミシミシと屋根裏を進む進藤は、こ體重控制れが最後だから、と、自分に言い聞かせ、その病み上がりの老体に鞭を打ったのだった。